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坂本龍一さんを忍んで ~opus鑑賞記~

坂本龍一さんが他界されて早1年が過ぎました。丁度彼の最後のライブというかNHKのスタジオで完全収録された作品opusが映画化されまして鑑賞してきました。坂本さんのライブと言えばアルバム「1996」がリリースされたそのツアーでの公演を確か渋谷文化村オーチャードホールで観たのが最後だったかと思います。もう30年近く前のことでカルテットでの演奏だったと記憶しています。

暫くがんの闘病生活で心配していた時に、このスタジオライブが一部NHKスペシャルで放送されまして痛く感銘を受けました。映画館は自宅から自転車で3~40分程度で行けるアウトレットモール内にあり鑑賞にはすぐ行ける地の利です。もう急いで飛んで行きました。音楽映画にはつきものの本人の解説やメイキング映像、バックステージでの談笑、縁の深いミュージシャン仲間のインタビュー映像等一切ありません。有名なNHK509スタジオにグランドピアノが一台置かれ、横に等身大のライトが一つだけ。全編モノクロ映像で、ただ楽曲を淡々と演奏するだけのシンプルな作品で演出らしい演出が全くないのが大きな演出効果なんだと実感させられる作品でした。ピアノの音だけが館内に広がり、痩せ細った指先は力強さはないものの、弱々しさは全くない圧巻の演奏で、一気に世界に引き込まれた2時間でした。坂本さんと言えばYMOが世の中では有名ですが、私の中ではもっとラジカルな存在でブライアン・イーノやとデビッド・シルビアンらと交流していた頃など思い出深く、中でも映画音楽の大作を携わったベルトリッチ監督作品「ラスト・エンペラー」「シェルタリング・スカイ」「リトル・ブッダ」の3大作での音楽作品は驚嘆の一言だった思い出です。彼の晩年の作品はピアノ曲が殆どで、今もドライブ中によく聴いています。坂本さんのピアノ作品は静寂の中に水滴が一つ落ちた時の水音のような細やかさがあり、心に突き刺さります。映画ではモノクロ映像の効果もあって気持ちの水面にピアノの音が一音一音落ちてくるような感覚になる貴重な時間でした。あっという間のラストのopusの旋律が流れながらエンディングロールを迎えて感動に浸った作品でした。

他界されたのが本当に残念でなりません。改めてご冥福をお祈りいたします。

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